ダビンチと音楽

先回引用した本「レオナルド・ダ・ビンチ 真理の扉を開く」の作者アレッサンドロ・ヴェッツォージ(ALESSANDRO VEZZOSI)は、フィレンツェ郊外のレオナルド・ダ・ビンチ理想博物館の館長(Direttore del Museo Ideale Leonardo Da Vinci)ですが、ダビンチ展公式DVDのインタビューにも登場しています。その中で、科学者、技術者、である以前にレオナルドは芸術家(画家 - pittore)であると述べています。

画家であり、科学者であったレオナルドですが、音楽に関してはどうだったのでしょう?
ヴェッツォージは、同じ本 レオナルド・ダ・ヴィンチ:真理の扉を開く (「知の再発見」双書)の中で述べています。

伝説によるとレオナルドは優れた竪琴(リラ)の演奏者であり、楽器の発明家であり、幻想的な舞台装置の考案者であった。....
彼が書き記した多くの判じ物の中には、譜表や音符を用いたものが存在する。
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もしもレオナルドにとって「絵画の科学」が神の科学であるのなら、音楽はまさしくその妹である。しかしながら、彼は「絵画論」で述べている。「絵画は音楽より勝っている。なぜなら絵画は、薄幸な音楽のように生み出された直後に消滅するなどということはないからである。
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それでも、彼にとって音楽は知的な科学であり、洗練されていて、人工的だが、原初的な芸術なのである。レオナルドは「目に見えぬものの表現」として、音楽を高く評価していた。

あれほどの科学的探求心と天才のひらめきを持ったレオナルドにしても、15・6世紀では、やはり「録音機」というのは考えつかなかったようです。ただ、レスター手稿の展示説明の中にもありましたが、水の波紋を研究するなかで、空気の中を音が同じように伝搬すると解釈しているということなので、もしかしたら散逸してしまった手稿の中で「薄幸な」る音楽を、記録し再生するような装置を考えていたかもしれません。

ちなみに、少しネットを探していたところ、レオナルド・ダ・ビンチ理想博物館も良いですが、ミラノの国立科学技術博物館(Museo Nazionale della Scienza e della Tecnologia)に興味をそそられました。ここのレオナルドギャラリーでは、アトランティコ手稿などを元に30種もの機械や道具が実際に作られ展示され(30 macchine per uso civile e militare costruite a partire dai disegni di Leonardo)ているようです。今度、ミラノにいく機会があれば(うーむ、いつだろう)是非寄ってみたいところです。