J-POP
そういえばJ-POPという言葉は、ここ10年くらいのものだと思うけど、いつからなぜ言われるようになったか考えたことはなかった。
- 作者: 烏賀陽弘道
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/04/20
- メディア: 新書
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著者の烏賀陽弘道さんも書いているように、日本のレコード産業は、音楽再生ハードウェアを開発製造する電器メーカーと深い繋がりのなかで育ってきた。ところが、ソニーをはじめとするメーカーはものすごいスピードで国際化を進めていったのに、ソフトはいっこうに海の向こうでの成功を実現することはできなかった。その理由については著者は触れていないので少し考えてみる。
ソニーもホンダも、世界に飛び出し急速な世界ブランドになったのは、熱心な技術開発と徹底した品質向上による優れたハードウェアによる。基本的にハードは、同種の技術が欧米にあり、それを改良したり思いも寄らぬ発想転換によってイノベーションを起こしてきた。ところが音楽そのもの(コンテンツ)には、こうした技術革新や持続的改良というノウハウが全く通じない。ビートルズを改良して日本風にアレンジしても、マネはできても独奏はできないわけだ。
では、日本には、世界をうならせる音楽コンテンツを創り出す才能も土壌もないのか、というとそうではないように思う。DJの世界では言語の問題が無い分日本人は世界中で活躍している。クラシック音楽の世界では、コンクールの入賞者は日本人、韓国人、中国人が中心になっている。
そしてアニメとゲームの世界中への浸透によって、日本のテイストそのものが格好良いと思われるようになったいま、日本発の音楽がブレイクする準備はそろそろ整っていると思うのだ。
一世を風靡した小室哲哉のプロデュース手法は、ユーロビートなど欧州の先端音楽のエッセンスをいち早く取り込んで日本風に味付けしてファッショナブルに提示することだった。次に必要なのは、日本の個性としての音楽を、マーケティングするノウハウやコミュニケートするパワーなのではないだろうか。
それをいち早く実践した人が、最初の成功例を作るような気がする。